ナレーターという仕事に皆さんはどんなイメージをお持ちですか?
スタジオ収録している印象があると思いますが、
実は自宅で時間場所問わずできる今注目の職種です!
コロナ禍でテレワーク・在宅ワークが注目されていますが、
自宅で収録できる「宅録」は誰でも気軽に始められます。
興味はあるけれど、機材をどう揃えたらいいのだろう...?
初期投資を抑えるには...?
という疑問にお答えしていきます。
在宅ナレーターとして食べて行きたい人のために、
今回は私の宅録経験を踏まえ、初心者の方でも気軽に始めらる宅録のやり方をご紹介していきます。
目次
1. 宅録ナレーターって何をするの?
宅録ナレーターのお仕事は、近年一気に普及しているYou Tube関連の漫画や広告ナレーションから企業広告や案内のナレーション等に至るまで多岐に渡ります。
You Tube漫画などの場合だとナレーションだけでなく、一人で何役も感情を込めて演じる声優に近いようなお仕事もあります。
学生の頃に声優に憧れていたという方や、放送部や演劇部だったという方、音読や声を褒められたことがある方など少しでも声のお仕事に興味のあるなら、挑戦しないのはもったいない!
マイクで仕事をする日常を、あなたも作ることができます✨
2.宅録環境のセットアップ〜初心者向け〜これさえあればOK!
ここでは、ナレーター経験のない初心者の方向けに、費用を最低限に抑えてスモールスタートするための宅録機材をご紹介します。
ご覧の通り使っているのは激安パソコンとお安いマイク一本のみ。
宅録設備には見えないかもしれませんが、
これでもしっかりお仕事をこなせます。
かなり簡素ですが、実は
マイクとスマホだけでも宅録はできるのです。
宅録に必要な機材はこれだけ!? なんて驚くかもしれませんが、
それぞれの役割と選び方を含めもう少し丁寧にご紹介していきます。
マイク
宅録に欠かせないのが、録音の要になるのがマイクです。
「スマホマイクの録音でも可」という案件もたまに見かけますが、流石に音質に差があるのでなかなか採用には至りにくいでしょう。
マイクの種類も価格も実に多種多様ですが、写真のように、もともとリップノイズ(話すときに唇から出てしまう音)を防いでくれるポップガードとスタンド付きのコンデンサーマイクを一本用意することをお勧めします。
マイクの値段はプロ仕様のものだと10万超えもありますが、私が使用しているのはZealSoundコンデンサーマイクというもので、ヤフオクで2800円くらいで入手した物です。「せめてマイク代の元を取れたらいいな。」という位の気持ちで始めた宅録ナレーター活動でした。
パソコン
これはお手持ちのもので全く問題はありません。
OSがWindowsかMacであれば、編集も簡単に行うことができます。
ただ、最近普及しているChromebookの方は編集に一手間かかるのでご注意を。
なぜあえてこの注意を入れたかといえば、ライター作業しか考えていなかった私はまさにその少数派に該当しており、宅録初心者の頃は編集に手間取り依頼者様にご迷惑をおかけした苦い記憶があるからです...。
防音・ノイズ対策
宅録に防音設備が必要か?
といえば、あなたがどれだけ本格的に活動したいかによります。
ランサーズのような外注サイトの低価格の案件を中心に始めたいのであれば、防音設備はなくても、お仕事に影響することはありません。
ただ、自宅のどこで録音するのが1番良いかを考える必要があります。
広いリビングよりだと声が壁にぶつかったときに反響が大きくなります。
ワードローブで宅録するという在宅ナレーターさんが多いですが、
ない場合は個人の部屋で、部屋の四隅など壁沿いは避けましょう。
音漏れや反響が気になるのであれば、
カーテンを閉めるだけでも少し変わってきます。
もっとしっかりとノイズ対策したい場合は、
マイクの周りに吸音材をおいておくのがオススメです。
同じく宅録初心者のうちは必要のないものに、
オーディオインターフェイスがあります。
これはマイクとパソコンの間に接続することで音質を向上させる効果がある機材ですが、お値段もしますので、スモールスタートする方はなくても良いでしょう。
スマホ録音について
音声編集アプリをダウンロードすれば、iPhoneでもAndroidでも多くの機種で宅録可能です。その際もマイクは専門のマイクを接続して録音するようにしてください。スマホ対応型のコンデンサーマイクもたくさんあります。
注意する点は、悲しいことにこれも私の経験からですが、iPhone8のような外部接続するためのイヤホンジャックのないスマホでは残念ながら不可能です。マイクを接続できないことには打つ手なしです。そしてスマホの弱点としは、あまりファイルが大きなものになると送信時などの処理速度がパソコンよりかなり遅くなることです。
3.宅録の手順
宅録機材を揃えたら、ここからがスタートです!
収録手順は大まかに以下の3ステップです。
- マイクのセッティング
- DAWの起動
- ナレショーン収録
- 録音した音声ファイルを編集したら完成!
(1)マイクのセッティング
マイクは、自身がナレーションを立って行うか座って行うかは、話しやすい姿勢で行えばよいですが、マイクとの距離には少し気を使ってみると良いでしょう。
自分の口とマイクの距離は、なるべく近めから拳一つ分の距離になるようにセッティングしましょう。マイクスタンドは必要ありません。タンスの上を使ってみたり、本を積み重ねて高さを調節したり自宅ならではのもので高さの工夫はいくらでもできます。
(2) DAWの起動
DAW(Digital Audio Workstation)= デジタル・オーディオ・ワークステーションは、デジタルで音声の録音、編集、ミキシング、編曲など一連の作業が出来るように構成された一体型のシステムを指します。
録音は音声メモやボイスレコーダーソフト等で行ってもOKですが、
録音しながら音声チェックや編集することを考えると最初からDAWを起動して収録する方が楽です。
(3) ナレーション収録
基本ですが、録音スイッチの入れ忘れで後で泣くことのないよう注意してくださいね!
初心者ナレーターが1番最初にぶつかる壁が、「リップノイズ」だと思います。
そちらの対策は以下に詳しく書いているので参考にしてみてください。
https://article.naturalista.jp/lip_noise/
(4) 音声編集
音声編集は初心者の方には1番敷居が高く感じる部分かもしれませんが、
基本的に行うことは以下の通りです。
・ノイズ除去
・読み違えのカット
・間の調整
・ボリュームの調節
その際に便利でメジャーなDAWのフリーソフトがAudacityです。
これさえあれば上記の編集作業が全て完結します。
(Windows・Macどちらも対応しています)
それに対して、スマホやChromebookユーザーの方はこの便利なソフトがうまく機能しないので他の方法で同じ編集作業をすることになります。私も結局編集はスマホで行っているので、アプリを使用します。
アプリの選択肢は多くあるので好みのものを使うのが一番ですが、例として私が現在使用しているものをご紹介するとWavePadとEZ AudioCutです。
WavePadは初回数回は無料で編集ができるのですが途中から月額350円になります。
EZ Audiocutはファイルの切り貼りをする分には無料なので、そこでつなぎ合わせたファイルをWavePadでノイズ除去し、音声の正規化(適度の音量への調節)を行っています。
以下の記事では、知らないうちに入ってしまうリップノイズの対処法を紹介しています。

4.宅録の落とし穴と対策
自宅でナレーションを録音する宅録。
楽しみながらできそうだと思っていただけたなら幸いですが、最後に宅録ならではのハプニング的落とし穴への注意と対策をお伝えします。
自宅にいながらのナレーション、ついついナレーションの世界に入り込んでいるとまさかの、「ピンポーン」「ワンワン、ニャー」「プルルル」。そう突然の来客、ペットの声、家庭電話の着信という予定外の出演者たちです。他にもお子さんがいる時間帯にはお子さんの乱入なども起こりえます。
残念ながらこれらの音はノイズ除去では対処しきれないので予め対策を打っておきましょう。
時間帯を選んでみたり、音量を切っておいたり、ペットたちにはマイクやナレーションに慣れてもらうなど地道で地味な対策が効果的です。
パソコンとマイク一つではじめられる宅録ナレーション。
興味を持たれた方はぜひ一歩踏み出してみてください。
声を出すことはストレス解消にもなりますし、新しいチャレンジをするだけで気分もぐんと若返り、新しい視野が開けることでしょう。
記事執筆:Marina Tomose